ATOS, The Future
2005/7/15(金) 更新


身近なATOS

ATOSとは
 → 概要と機能
 → 旅客案内と運行管理
 → 運行管理の変遷

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 → 外観と機能
 → 設置形態
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身近なATOS

ATOSとは

→ 概要と機能

 駅に行っても見ることのできないATOS。設計思想に見られる先進性やスケールの大きさゆえに全体像を見失いがちなATOSですが、身近な具体例や図表を使い、わかりやすくご紹介します。

最新の運行管理システム

 ATOSとは、JR東日本が東京圏(東京から100km)の各線区で導入を進めている、最新の運行管理システムである。1993年から1996年にかけて開発され、現在も範囲の拡大が続けられている。2007年には完了する予定になっている。

導入線区 略図

 なお、「ATOS」は「Autonomous decentralized Transport Operation control System」(自律分散型輸送管理システム)の略で、「アトス」と発音する。

国内最大規模の運行管理システム

 単純な比較はできないが、ATOS対象線区の総延長は、およそ東海道・山陽新幹線の東京−新山口間に相当する。なお、駅の数は新幹線の10倍、列車密度はそれ以上であり、処理しなければならない情報の量は桁違いである。

 私鉄では、近畿日本鉄道(近鉄)が573.7キロ/330駅、東武鉄道が463.3キロ/204駅であり、全線対象の運行管理システムが構築されたとしてもATOSには及ばない。

 JR西日本ではATOSのような一元的なシステムは構築されておらず、運行管理システムの導入は京都・神戸線(草津−西明石間)のみとなっている。このため、現時点ではATOSが国内最大規模の運行管理システムということになる。

数字で見る導入線区の広がり

指令中心の運行管理を実現

 従来の運行管理は各駅の信号扱い所を中心としていたが、効率化のため指令室を中心とする体制に移行した。これを支えているのが、ATOSである。最新の技術により各駅での進路制御(信号機とポイントの切り替え)を自動化、指令室からの指示だけで東京圏の各路線を動かせるようにする、大規模な運行管理システムである。

ATOSのしくみ

 東京・田端の指令室には、運行管理の対象線区ごとに中央装置(ホスト)と輸送指令卓が設置され、高速なネットワーク回線を通じて各駅の装置が制御できる。各駅でもモニタ装置が置かれ、自駅だけでなく路線全体の状況が確認できるようになっている。他に、ダイヤ情報をダイヤ作成部門の別システムから受け取る装置なども設けられている。

 なお、各駅の装置は自律的に動くため、中央装置と各駅の間は簡単な「指示」だけで済むようになっている。(細かい機器一つ一つの制御信号まではやりとりされない。)

異常時のダイヤ回復に威力

 ATOSの指令卓では、マウス一つでダイヤが変更できる。変更点は直ちに各駅の装置に伝えられ、進路制御や旅客案内に反映される。電車の乗務員に対しては従来の無線に加え、「出発時機表示器」と呼ばれる専用の表示器を介しても指示が出せるようになっており、従来より迅速なダイヤ回復が期待される。

旅客案内の自動化で設置駅が増加

 従来の電光掲示板や自動放送では、各駅でダイヤ情報を入力する手間がかかっていた。ATOSでは、中央装置から自動配信されるダイヤ情報に基づいて、各駅の旅客案内装置が動作する。

 このため、以前は信号扱い所のあるような大きな駅にしか電光掲示板などの旅客案内装置は設置されていなかったが、ATOS導入線区では大半の駅で設置されるようになった。

異常時にも対応する自動旅客案内

 さらに、ダイヤが乱れた時にも新しい情報が自動配信されるため、常に適切な旅客案内が行なえる。指令員が入力したメッセージを全駅で一斉表示することもでき、旅客への情報提供が迅速かつ正確になった。

運行情報の一斉表示

保守作業のための機能や他システムとの連携も

 その他、ATOSには保守作業を安全かつ効率的にするための機能も盛り込まれている。また、他のシステムと連携して、必要なところに必要な情報を伝える役割を担っている。




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